『EAT&RUN』スコット・ジュレク著【書評】

『EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅』 スコット・ジュレク著

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http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4140815868/ex-bit-22/

 

勝手に書評・第1弾は、ウルトラマラソン界のレジェンドスコット・ジュレク氏の著作。

『EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅』

ウルトラマラソンとは・・・

 

まず、「ウルトラマラソン?何それ?」という方もいると思うので軽く説明すると、

一般的には、「フルマラソンの42.195kmよりも長い距離を走るマラソン」のことである。

 

ウルトラマラソンにもいろいろ種類があって、まず距離でいえば、50km100km100マイル(約161km)200km を超えるレースもある。

世界最長のレースは3100マイル(約5000km)にも及ぶんだとか。

 

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さらに、ウルトラマラソンでは山道のコースを走る大会も多い。

フランスウルトラトレイル・デュ・モンブラン(通称UTMB)米国ウエスタンステーツ・エンデュランスランが有名だ(ともに100マイル)。

ウルトラトレイル・デュ・モンブラン

ウエスタンステーツ・エンデュランスラン

 

日本でも数多くのウルトラマラソンが開催されている。

僕も地元の奄美大島で「OSJ奄美ジャングルトレイル」という50km のトレイルレースに出たことがある。(実際には53kmだったが。)

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http://www.powersports.co.jp/osjtrail/15_amamijungle/report.htm

OSJ奄美ジャングルトレイル

 

 

来年あたりは、阿蘇カルデラスーパーマラソン100kmを走ってみようかなとか思っている。

 

他には、24時間走り続けるマラソン砂漠マラソン(7日間で250kmを走る)南極・北極を走るマラソンもある。

 

要するに、ウルトラマラソンとは「変態レース」のことである。

 

 

ヴィーガン(完全菜食主義者)のスコット・ジュレク

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http://number.bunshun.jp/articles/-/822296

 

そのウルトラマラソン界でレジェンドと呼ばれるスコット・ジュレク

彼はウエスタンステーツ100マイル7連覇スパルタスロン3連覇24時間走アメリカ記録樹立など輝かしい成績を誇る。

今年の夏には、北米・アパラチア山脈を縦断するアパラチアン・トレイル(AT)で、3489kmという距離を46日8時間7分アメリカ新記録で完走。

 

僕が日本縦断したときは、3700km148日間かけて走ったので、その約3倍の速さだ。

 

とにかく信じられないくらいの超人なのだが、実は彼はヴィーガン(完全菜食主義者)でもある。

 

ウルトラマラソンのような過酷なスポーツにおいて、果たして菜食だけで第一線で走り続けられるのだろうか?

 

彼の「走ること」や「食べること」についての考え方が綴られているのが本書というわけだが、読み進めていくと、スコット氏がもっと根源的なところに思いを深めていることが分かる。

 

それは彼の「走りと食と生の哲学」である。

 

 

地球とともに走る

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http://vegepples.net/2014/04/17/scott/

 

もっと根源的なところとは何かというと、スコット氏の「地球とともに走る」という意識だ。

 

周知のとおり、彼は常にウルトラマラソン界の第一線で走っていて、数々の大記録を樹立した。

しかし、彼がそういった偉業を成し遂げたことを自慢することはない。

 

自然は人間がいかにちっぽけな存在かを気づかせ、そして力を与えてくれる。自分がこれほど小さいと感じたことはなかった。こんなに大きな存在だと感じたのも初めてだった。 (本書より)

 

スコット氏ほどの大偉業を成し遂げた人間でも、地球の大自然の前では自らの小ささを感じるようだ。

強い人ほど自分の小ささを知っているのかもしれない

 

疑うまでもなく、ウルトラマラソンは世界で最も過酷なスポーツの一つだろう。

 

極度の疲労、身体の痛み、内臓疲労、睡眠不足、意識混濁。

嘔吐を繰り返したり、幻覚を見ることも常だという。

さらには、厳しい気象条件、路面状態とも向き合いながら走らなければならない。

 

そうした極限状態に立たされた人間の悟りは一体どのようなものだろうか。

 

その状態の人間が考えることは、きっと「タイムの速さ」「順位」ばかりではないと思う。

自分の“外”ではなく、徹底的に自我の奥底へと思いを巡らせ、ただ「今」という瞬間を感じるのだろう。

 

そうしたシンプルな思考領域に入ったことのある人間だからこそ、「食べる」「走る」という極めてシンプルで、動物的で、本能的な活動の意味を悟ることができるのかもしれない。

 

彼は「速く走るため」とか「大会で勝つため」だけに走っているわけではなく、また菜食の生活を送っているわけでもない。

 

ただ、地球という大きな環境の中に存在するひとりの人間として、より自然で、よりシンプルに生きることの喜びを知っているのだと思う。

 

こう言うとウルトラランナーが徹底的な個人主義者のように思われるかもしれないから付け加えておくと、スコット氏は本書でこのようなことも述べている。

 

最も大切にしている友情が、一人でだれにも頼らず挑戦する孤独なスポーツから育まれたことは、何という皮肉だろう。ウルトラマラソンはチームで戦うものではないのに、この徹底した個人主義のスポーツを通じて培われた絆が、僕の人生で何よりも強いのだった。 (本書より)

 

孤独を知るからこそ、他者との関係性の中で生きることの喜びも見えてくるのかもしれない。

 

長々と書いてしまったが、結局こういうものは「まず、やれ。そして、体感せよ」の世界だ。

 

僕も近いうちに、ウルトラマラソンで100kmとか100マイルとか走って、新たな世界を自分の身体で感じてみたい。

 

走らない人でこの感覚が分かる人いるかなぁ・・・。